【まとめ】事例で地域ケア会議の基礎を理解する
前回は、地域ケア会議はとても素晴らしい環境であるというお話をしました。
「未だに地域ケア会議を開催すること自体を目的に地域ケア会議をしています」
「どうすれば、地域づくり・資源開発機能を発揮する会議を開催できますか?」
と現在の地域ケア会議に不安を抱いている方が多くおられるようです。
まず必要になるのは、地域ケア会議の基礎の部分を理解することが一番の近道となります。
以上の点から、今回は、「地域ケア会議の基礎を理解する」事をテーマにお話したいと思います。
地域ケア会議の基礎1 目的
地域ケア会議の目的は厚生労働省から下記のように目的が書かれています。
地域ケア会議は、高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備とを同時に進めていく、地域包括ケアシステムの実現に向けた手法。
出典:厚生労働省
こちらの文面を良く見てみると、2つのことを実現する必要があることがわかります。
①高齢者個人に対する支援の充実
他職種協働による個別ケース(困難事例等)の支援を通じて、高齢者個人に対する支援の充実を図ることになります。
身近な例でたとえると、あなたの担当者に認知症で徘徊をする高齢者がいるとします。
その高齢者の徘徊を予防する取組みや、実際に徘徊をしてしまった場合の取組みがあなたの地域で無かったとします。
その場合に、専門職間で徘徊高齢者の情報共有シートを作成したり、本人・家族の同意を得て地域で見守りネットワークを作るとします。そうすることで、重大な事件にまで発展することが予防できるといった、個別ケースでの対応方法を確立することが出来るようになります。
このように、個別ケースを通じて、高齢者個人に対する支援の充実を図ることが地域ケア会議の一つの目的となります。
②それを支える社会基盤の整備
こちらは、個別ケースの問題自体を解決するという訳でなく、地域の社会基盤を整備して解決を行なうという、どちらかといえば間接的なアプローチ方法となります。
先ほどの例のように、認知症高齢者の徘徊問題について、元気なうちから地域で顔の見える関係性を築けるような、住民が交流する機会を作ったり、地域で認知症予防の運動活動を始めたりするといった、社会の仕組みを整備することが、それを支える社会基盤の整備となります。
上記2つの視点で地域包括ケアシステムの構築を行なっていくのですが、現在は週1回以上30分程度の介護予防活動を行なう、「地域づくりによる介護予防推支援進事業」であったり、
※地域づくりによる介護予防推進事業の詳細
→
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生活支援コーディネーター及び協議体が地域住民主体による助け合い活動を推進する「生活支援体制整備事業」が主な役割を担うことが予測されます。
※生活支援体制整備事業の詳細
→
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このような時代の流れを見ると、今後の地域ケア会議では、どちらかというと、①高齢者個人に対する支援の充実に力を入れた地域づくりを展開して行く事が望ましいと私は考えています。
地域ケア会議の基礎2 5つの機能
地域ケア会議を理解する上で外せないのが、地域ケア会議の5つの機能となります。
1.個別課題解決機能
2.ネットワーク形成機能
3.地域課題発見機能
4.地域づくり・資源開発機能
5.政策形成機能
詳しくは ↓
地域包括ケアシステム.com/tiikikeakaigi-5kinou/
わかりやすく例で例えると、先ほどの認知症高齢者の徘徊対策を地域ケア会議でテーマとして挙げ、意見を出し合い、解決策を出しましたよね。
専門職種間で、様々な視点から意見を出し合うことで解決方法を導き出すことで、1.個別課題解決機能が発揮されます。
また、専門職種同士がお互いの顔を見ながらケース検討を行なう事で、連携が深まり、2.ネットワーク形成機能が発揮されることとなります。
そして、その次の3.地域課題発見機能に発展する例として、地域全体を見てみた場合、「認知症高齢者の徘徊」があなたの担当地域で年に何回も起こっていたとします。
中には、行方不明になったり帰らぬ人となるといった深刻な問題に発展するケースすら出ているとします。
その場合、あなたの担当地域で「認知症高齢者の徘徊」に対する予防や対策が出来ておらず、重大な事件にまで発展するという「地域課題」が見えてきます。それが地域課題発見機能となります。
また、個別課題発見機能で見出した解決策を実践し、結果を出すことで、個別ケースでの対応方法を確立出来るようになります。
その解決策を、個別レベルから、地域全体で共有して地域レベルで実践を行なうということが、4.地域づくり・資源開発機能となります。
最後の5.政策形成機能とは、先ほどの4.地域づくり・資源開発機能では、実現できないような取組み、例えば認知症徘徊GPSを予算化するなど、政策を形作らないと出来ない取組みを実現させることが政策形成機能となります。
地域ケア会議の基礎3 地域ケア会議開催規模
地域ケア会議の5つの機能が理解できたら、その次は地域ケア会議の開催規模を知ることが必要になります。
地域ケア会議の開催規模は3つに分かれており①個別事例②日常生活圏域③市町村・地域全体という3つの開催規模があります。
流れ的には2つの流れがあります。
例えば、個別事例で解決策を導き出した(徘徊情報共有シートを本人の為に使用)ものを、日常生活圏域で情報共有し(日常生活圏域全体で徘徊情報共有シートを使用するようになる)最後に、市町村・地域全体という広い圏域で情報共有し、市として徘徊情報共有シートを制作し市レベルの取組みにする、という流れになります。
流れを図で示すと
個別→日常生活圏域→市町村・地域全体 となります。
その逆に、市町村・地域全体の地域ケア会議で先進的な取組みを知ったあなたが、自分の日常生活圏域で、その取組みの情報を共有するために地域ケア会議を開催して、あなたの日常生活圏域で取組みを広めます。
すると、参加した方々が、自分たちの個別ケースで、その取組みを取り入れる。
そのような、成功事例を学び、自分たちの日常生活圏域に取り入れるといった流れがあります。
流れを図で示すと
市町村・地域全体→日常生活圏域→個別 となります。
このように、自分たちの成功事例を地域全体で共有したり、逆に、先進的な取組みを自分たちの地域に取り入れる。
もしも政策形成が必要なら、政策形成までつなげることが出来る可能性があるのが、地域ケア会議となります。
いかがでしょうか?地域ケア会議の基礎とその可能性は伝わりましたか?
効果的な地域ケア会議を開催するには?
このように、色々と地域ケア会議を語っていますが、私自身、地域包括支援センターの所長として1年半、全く地域ケア会議の本質が理解できていませんでした。
サービス担当者会議の参加者を豪華にしただけの会議だったし、年に4回以上開催しないといけないので、そのノルマを解消する為の会議だったと思います。
恥ずかしながら「会議をすることが目的の会議」という時期を過ごしていました。
こんな私でも、あるきっかけを境に、効果的な地域ケア会議を開催することが出来るようになりました。
次回は、私が地域ケア会議を効果的に出来るようになったきっかけについてお話をしたいと思います。